その見かけはワイルドで、なんとも厳つい感じのフレンチブルドッグ
ですが、実は意外と温和で人懐こい性格をしています。
家族だけではなく、誰にでもフレンドリーで、陽気で明るいのが
フレンチブルドッグの人気の秘密でもあるようです。
もともと闘犬だったブルドッグの闘争心や強い性格を改良して作ら
れたフレンチブルドッグですから、その穏やかな性格は長い間つち
かわれてきた歴史があります。
また無駄吠えもほとんどなく、おとなしいので、マンションなど
の集合住宅でも十分飼うことができます。
フレンチブルドッグは、パッと見た瞬間には、迫力ある大きな顔に思わずびっくり・・・
なんてこともありますが、その顔をじっくり見ているとなんとなく人間ぽい表情に見えてきます。
大きな顔に潰れた鼻、割と正面についているクリクリの目、そのつくりそのものが、
尖った顔の他の犬たちに比べると、人間に近い形をしているせいかもしれません。
口を開けて歯まで見えているときの表情は、
まるで人間が「ガハハ~」と笑っている顔そのものだと思いませんか?
そして、筋肉質でがっしりした体でのっしのっしと動く姿はとてもコミカルで、
見ている人を思わず笑顔にしてしまう不思議な力があるようです。
そんな明るく温和なフレンチ・ブルドッグですから、争いごとはちょっと苦手。
家族の誰かがけんかをすれば、ほんとに寂しそうな悲しい表情に一変してしまいます。
いつも元気で明るい家族のムードメーカーであるフレンチ・ブルドッグが、そんな悲しい顔を
しているのは見たくないものです。
小さなトラブルが多かった家族が、フレンチブルドッグを飼い始めることで、
明るく平和な家族に戻れることができたなんて話もあるとか、ないとか…。
いずれにしてもフレンチブルドッグは、家庭の中に常に笑いをもたらせてくれる
欠かせないムードメーカーであることは間違いありません。
いかついその姿からはなかなか想像がつきにくいのですが、
フレンチブルドッグの皮膚は意外と繊細で弱いものなのです。
フレンチブルドッグの中には、湿疹・アレルギーなどの、
皮膚のトラブルを抱えている子が結構います。
ですので、普段からのお手入れがとても重要になります。
常に清潔にするように心がけてあげましょう。
日常の手入れは、短毛犬種なのでそれほど大変ではありません。
ラバーブラシなどを使用してブラッシングし、
必要に応じて全身を蒸しタオルで拭いてあげればOKです。
短毛犬種と言うことで、ついついサボりがちになるブラッシングですが、
皮膚は刺激を与えることで強くなります。
定期的なブラッシングは皮膚を鍛えるためにも必要なお手入れの1つです。
強すぎず、弱すぎず適度な刺激を与えるよう、こまめにブラッシングをしてあげてください。
そして、フレンチブルドッグのお手入れで特に重要なのは、顔のしわ。。
しわの間はとても汚れが溜まりやすい部分です。
この部分を不潔にしていると、そこに湿疹などの皮膚トラブルが起き、影響が全身に及んできます。
脚で顔を掻いた後に他の部分を掻くことで、その汚れが他の部分に移ってしまうからです。
食後や外出後には、やわらかい蒸しタオルでしわの間までしっかりと丁寧に拭いてあげましょう。
顔のしわまできちんと清潔にしていれば、それほど体臭は気にならない犬種です。
ただ、脂漏体質でもありますので、お手入れをサボると、皮膚自体がデリケートなこともあり、
すぐに湿疹などの皮膚トラブルが起きてしまいます。
2~3週間に1度はシャンプーをしてあげた方がいいでしょう。
できるだけ刺激の少ない薬用シャンプーなどを使用し、
シャンプー後のドライングもしっかりとするように注意してあげてください。
どっしりとした体格のフレンチブルドッグは、実は意外とパワフルでアクティブな犬種でもあります。
一緒に遊んでいるときに、意外なほど俊敏な動きを見せて、人を驚かせたりしてくれます。
それほど多くの運動量を必要とする犬種ではありませんが、やはり適度な運動は必要です。
無駄吠えも少ないと言われていますが、外に出られず、運動不足などのストレスが増えると、
やはり様々な問題行動も出てしまいます。
吠えないはずのフレンチブルドッグに吠え癖がついてしまったり、ストレスから体を掻きむしり、
ただでさえデリケートは皮膚を掻き壊してしまったり…。
ストレスは本当にたくさんの問題を引き起こしてしまいます。
フレンチブルドッグにとってお散歩は、適度な運動をするだけではなく、外の世界を見て歩く、
大切な気分転換の時間でもあります。
温和で人懐こく、明るい性格のフレンチブルドッグと楽しく暮らしていくためにも、
その子にあった適度なお散歩を心がけてあげてください。
また、共働きで日中はお留守番が多い家庭などで飼われる場合は、
お休みの日にはできるだけ明るい時間に外に連れて行ってあげましょう。
暑さに弱いフレンチブルドッグなので、強い日差しや気温が高い時の外出はご法度ですが、
まったく日に当たらないのも健康上はあまりよくありません。
適度な日光浴をすることで皮膚を強くし、より強い骨格を作ってくれるものですから。
マンション暮らしなど室内でフレンチブルドッグを飼われる場合も、
やはりその運動量には十分な配慮が必要です。
フレンチブルドッグは、他の小型犬に比べるとしっかりとした体重があります。
外に出る機会が少なく、室内での運動が増えると、そのドタドタと走り回る足音が、
階下への騒音として問題になってしまう可能性があります。
室内より、外でしっかりと運動させるよう、普段から習慣づけておいたほうがいいでしょう。
温和で従順なフレンチブルドッグですが、時にとてつもない頑固さを見せることがあります。
歩きたくないときにはてこでも動かないなど、普段の従順さからは思いもよらないほどの頑固さを
持っているのです。
そこそこ体重のあるフレンチブルドッグに路上でストライキをされたりすると、飼い主さんは
たまったものではありません。気軽に抱っこして連れて行ける体重ではありませんからね。
また子犬から大人へと成長していく過程で、どんな犬種でも現れる甘噛み。
もともと闘犬だったブルドッグの血を引いているのですから、そのアゴの力は相当なものです。
甘噛みは成長と共に落ち着いていくものではありますが、中にはその噛み癖が大人になっても
抜けなく、家族の大きなストレスになってしまうことがあります。
いずれも、小さい頃からしっかりとしたしつけを行い、飼い主さんが信頼できるリーダーに
なることで、解決していくことができる問題です。
飼いやすい性格の犬種だからこそ、しつけ面で油断をすることのないように注意してくださいね。
フレンチブルドッグだけでなく、同じ特徴を持つすべての犬種に当てはまることですが、
短頭蓋犬種…つまり鼻ペチャ顔の犬たちはとても暑さに弱い犬種です。
時にはそれが原因で死んでしまうこともあります。。
犬は暑くなるとハァハァと口で大きく息をして、舌から水分を飛ばすことで体を冷やします。
しかし、フレンチブルドッグのような鼻ペチャ顔の犬たちは、その口内の特殊な構造から、
その激しい呼吸が上手にできません。そのため、大きく息を吸おうとすればするほど、
うまく呼吸ができず、呼吸困難となってしまうことがあるのです。
この呼吸障害は「短頭蓋犬症候群」と呼ばれ、鼻ペチャ犬を飼っている方なら、
常に気をつけなくてはいけないことの1つです。
特に次のような症状がひどく見られるときは、早めに獣医さんに診てもらいましょう。
・常に口をあけて呼吸をしている
・呼吸音が普段より大きい
・今までよりイビキがひどくなった
・普段どおりの運動ができなくなった
・ゲェゲェとしながら、あぶく状になった唾をよく吐き出す
短頭蓋犬症候群の原因が、軟口蓋と言う器官が長いことによって起きている場合などは、
その軟口蓋を外科的に短く切除することによって症状を改善することができます。
症状自体が軽くても、苦しそうな呼吸が気になる場合は、一度獣医に相談するのがよいでしょう。
また、体温調節のための激しい呼吸が上手にできないと言うことは、
暑いときの体温調節自体もうまくできていないと言うことになります。
そのため、熱中症にかかりやすく、それもまた、ときには死に至る危険な病気です。
普段から次のような暑さ対策をしっかりと行い、
少しでも異変があった場合は、どんな状況でもすぐに病院へ行くようにしましょう。
・日差しが強く、気温が高いときは運動を控える
・日陰を選んで歩くようにする
・車の中には絶対に置き去りにしない
・外出時は必ず水を用意しておく
・暑い日に外で遊ぶ場合は、プールなどを用意しておく
・暑い日に外出する場合は、冷たいタオルや水で体を冷やせるように準備しておく
・運動は犬のペースで行い、無理強いはしない
・休みたそうにしているときは、自由にやすませてあげる
万が一、暑さによって犬が倒れたりした場合は、まずはすばやい応急処置が必要です。
体に水をかけるなどをして、とにかくすぐに体を冷やすことを最優先に行いましょう。
すでにご紹介した皮膚トラブルや呼吸障害以外にも、フレンチ
ブルドッグが気をつけたほうがよい病気はいろいろとあります。
中でも、特に注意したいのが関節のトラブルです。
大きな頭部を小さめのボディで支えているその体型から、
犬種的にもともと足腰への負担が大きいからです。
近年急激に高まってきた人気によって、無理な繁殖をされて
いるケースも多くあり、生まれつき関節に問題を抱えている子
が増えてきています。
大腿骨頭が血液の供給不足によって変形したり、壊死してしまう
レッグ・ペルテス病や、股関節が外れてしまう股関節脱臼などの
トラブルがよく見られます。
遺伝的な問題で発生するケースもありますが、普段の生活の中でも、
足腰にあまり負担をかけないようにするなどの配慮が必要です。
フレンチブルドッグは、非常に食欲が旺盛で太りやすい体質の犬種ですので、
油断するとすぐに肥満になってしまいます。
さらに運動不足が重なることにより、体を支えるために必要な筋肉が足りなくなり、
足腰への負担が大きく、ますます関節のトラブルが起きやすくなります。
食事のコントロールをしっかりし、適度な運動できちんとした筋肉をつけ、
肥満にならないように十分注意をしてあげましょう。
また、滑りやすいフローリングなどの床も、足腰への負担が大きく、
関節のトラブルを引き起こしやすい環境と言えます。
犬が日常暮らし、遊んだり走ったりする部分だけでも、カーペットやマットを引くなど
の配慮をしてあげてください。
そして、大きめの立ち耳が特徴のフレンチブルドッグですが、脂漏体質ということもあり、
耳に汚れが溜まりやすく、それが原因で外耳炎になってしまうケースも多いです。
イヤークリーナーなどを使用して、こまめにふき取り常に清潔にしておきましょう。
その他にも、フレンチブルドッグがかかりやすい病気や遺伝性疾患として、
眼瞼外反症や膿皮症、膝蓋骨脱臼、白内障、口蓋裂などがあげられます。